詳細までは追っていません。リヴァーブの傾向のみです。
着目点として考えたのは、
Ambisonicsなので、フォーマットの特徴である自然な立体音場を生成できるか?という点です。
そうでなければ3Dのリヴァーブである必要がなく、使い慣れたサラウンドリヴァーブを7.1.4chの中層と上層にそれぞれ1つずつ使用したり、あるいはあえて異なるリヴァーブを使い自由にサウンドメイクすればよいわけで、3Dで上下のあるリヴァーブ、特にAmbisonicsのように一体感ある音場が特徴のフォーマットを使う意味は上下の繋がりにあります。
そうした事でしか成し得ない立体音場を実現し、没入感ある残響空間が作れるかを知る必要があります。
そもそも上下の繋がりが考慮されたスピーカーシステムやサラウンドフォーマットを導入しているスタジオはほぼ無いのですが、そうした話は一旦おいておきます。
試したのは以下の4つ
IEM Plug-in Suite - FdnReverb (無料)
Audio Brewers - ab Reverb (59ユーロ)
https://www.audiobrewers.com/plugins/p/ab-reverb
Noise Makers - Ambi Verb HD (189ユーロ)
https://www.noisemakers.fr/ambi-verb-hd/
AUDIO EASE - 360reverb(360pan suite 3) (36,300円)
https://formula-audio.co.jp/audioease/360pan.html
※2022年7月現在
この4つを選んだ理由は特にありません。
たまたまです。
基本的に、自然な立体音場となれば実際の空間のIR(インパルス応答)を使ったリヴァーヴが有効です。
今回だとAmbi VerbHDと360reverbがそれです。
360reverb
IRをベースにしたリヴァーブとしてお馴染みのAltiverbを作っているAUDIO EASEなので、やはり自然な残響でした。
上手く使えば没入感も出せるかもしれません。
IRの選択もしやすく必要最小限なパラメータで使いやすいですが、プリディレイが無いのがマイナスポイントです。
プリディレイがあると、Wet=100%で残響成分だけにして、別系統のドライソースとMixする時に初期反射のタイミングを調整することで空間の広さを微調できます。
基本的に自然なリヴァーブ作りに徹しているプラグインという印象です。
難点は360pan suiteバンドルのプラグインなので、360reverbだけを買うことが出来ないことです。
360pan suite自体は音楽制作というよりは映像作品のシーン制作に用いるようなツールなので使いづらい面もあります。
しかし、他の3つのプラグインと比較して、処理負荷は圧倒的に少ないです。
一番自然なのに負荷は少ない。これもAUDIO EASEならではの技術でしょうか。
Ambi Verb HD
同じIRベースでもちょっと自然な音では無く、このメーカーの他のプラグインもそうなのですが誇張されていてやり過ぎなところがあります。
派手な割に周波数特性を調整するパラメータが無いので、選択したIRに音源の音色が合わなければ、後段に必ずEQを入れることになります。
自然な方向でもエフェクター的な方向でもない中途半端なところが使いづらいのではないかと思います。
あと、IRの選択が謎。
ab Reverb
これは不自然なリヴァーブなので、立体音場の空間を作る目的には合いません。
ただAmbisonicsの球体に対し面白い残響を生み出すエフェクターとしては使えそうです。
UIを見て分かるように、初期反射と後期反射をそれぞれ設定でき、異常な部屋を作れます。
FDNReverb
これもリアルな空間表現では無いですが、綺麗な、というか余計なことをしていない澄んだ音がするので、リアルでは無いが空間らしさは出せます。
FDNはFeedback-Delay-Network。
ab Reverbが残響自体をいじって変わった音になるのに対し、こちらはAmbisonicsの空間はそのままでフィードバックなどで変わった空間を作り出せる感じがあります。
面白いです。
4つのプラグインを試してみて思ったのは、当たり前ですがリヴァーブというエフェクターであるということ。
音楽制作で自然な立体音場を求めることはほぼ無いと思うので、派手な方が使い道があるのでは無いでしょうか?
ab Reverbを大胆に使うと面白いですし。
自然な立体音場 → 自然な残響 → 変化に乏しい
自然なリヴァーブは使っても気付かれません。
面白くありませんが、それが没入状態にあると考えられます。
それから注意点として
これらの4つのプラグインは全て3次までのAmbisnicsに対応していますが、残響も3次AmbisonicsなのはFDNReverbだけです。
その他の3つは、ドライソースとしては3次ですが残響に関しては1次です。
まぁそれでも良いと思います。
この画像のように、今回のテストは自然な立体音場をジャッジするために、音源を斜め上のちょっと遠め、というイメージの場所に置きました。
これをAmbisonicsで出力し、その先で各プラグインの残響を付加し、8chCubeに変換してスピーカーで試聴しています。
こうして8chキューブ再生で試聴すれば自然な空間かどうかが分かります。
空間という感覚が分かりにくいかも知れませんが、繋がりが無いとスピーカーから残響が出ているように聴こえ、空間の繋がりが良く一つになっていると、スピーカーからではなく残響が空間を作っているように聴こえます。
8chキューブだとそうなり得ます。
7.1.4とかではそうなりません。
残響空間の繋がりが自然であれば、反射成分はスピーカー面よりもずっと奥から聴こえます。
(スピーカーアレイの広さよりシミュレートしている部屋が大きければ)
8chキューブ配置を組めない人は、3DXで8chキューブからHPLバイノーラル化しても、ある程度判断できると思います。
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