これは立体音響の制作をされている人であれば周知の事実かと思いますが、かなり大事なことなので一応記事にしておきます。
DAWでNovoNotes 3DXの様なパンニングツールを使う際、その音の軌道をオートメーションに書き込みますが、それがバウンス時に正しく再現されません。
※3DXだけでなく他のプラグインでも起きる現象です
※3DXだけでなく他のプラグインでも起きる現象です
2次元であればX,Y、3次元であればX,Y,Zのパラメータが連続的に記録されたデータを音に紐づけてプロセッシングしファイルとして出力するのは難しそうですよね。
バウンスやレンダリングといったファイル書き出し作業では、オンラインとオフライン、あるいは実時間と高速オフラインなどの方法がありますが、時間を短縮するオフラインでファイルに書き出すと、(音像移動のスピードにもよると思いますが)音像移動が正しく再現されません。
一つの音であれば気づきますが、様々な音が混在する作品の中での微妙な誤りであれば見逃してしまうことでしょう。
しかしこの微妙な音の誤りがいくつも重なれば、立体音場の没入表現には大きく影響してしまいます。
こちらのサンプル音源は、
ProToolsで3DXを使いピンクノイズを適当に動かしオートメーションにX,Y,Zを記録し再生した音です。
それを「Online」つまり実時間でバウンスしています。
この音が正しい音になります。
ヘッドフォンで聴いてみてください。
それに対し次の音は時間を短縮して書き出す「Offline」でバウンスしたものです。
明らかにX,Y,Zいずれかが時折抜け落ちているような音なのですが分かりますか?
Mixが完成しバウンスした音をチェックする時でも、この変化でしたら比較的気づきやすいと思います。
もっとはっきり動きが止まってしまうケースもあります。
この様な現象は他のDAWでも起きます。
次はREAPERで3DXを使いピンクノイズを適当に動かしオートメーションにX,Y,Zを記録し再生した音です。
それを「実時間オフライン」でレンダリングしています。
REAPERでは実時間で書き出せるのは「オンライン」と「実時間オフライン」があり、どちらも正しく書き出せるので(だぶん)、恐らく実時間かどうかがポイントなのだと思います。
やはり紐づけるデータが多すぎるのが原因ではないでしょうか?
次の音は時間を短縮して書き出す「オフライン」でのレンダリングです。
いかがですか?
一度聴いただけでは分からないかも知れません。(Mixした本人はすぐに分かると思いますが)
こうなるとレンダリングしたファイルを試聴しても気づかない可能性があります。
よく聴くと動きが滑らかではない箇所があるので微妙に抜け落ちているのでしょう。
完成した作品の音を聴いてはっきりと「違う」と思わないかも知れませんが、「なんか変だなぁ」と首を傾げるかも知れません。
分からないんだった気にしなくてもいいのでは?と思うかも知れませんが、「気のせい」として処理してしまうのはもったいないです。
滑らかに動く事で生まれる立体感もあります。
僅かであっても、立体音響作品なのですから、立体的な音の定位、立体音場感、そうした部分へのこだわりを捨てるのはどうかと思います。
だからと言って、今まで以上にチェックに気を使う、時間を使う、のは大変すぎます。
「(時間短縮系の)オフラインではバウンスしない」のが今のところ一番よい対処法のようです。
※DAW、プラグイン、によって現象は異なると思いますので、自身の環境で問題がないか確認してみてください。
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