2022/03/26

HPLのグレード





HPLにはグレードがあります。

正確に言うとHPL自体にグレードは存在しませんが、HPL製品の中でグレードが生まれている、ということです。

HPLならどの5.1chのバイノーラル化も同じ音!
では無いので、より上の制作を行うために知っておいてください。


では早速

special Aグレード
HPLの本来の音質と定位
リスニングはもちろんMix作業のモニターとして存分に使用できる

NovoNotes HPL2 Processor
Airfolc RA-6010-HPL:2ch mode


Aグレード
HPLの本来の音質と定位
リスニングはもちろんMix作業のモニターとして十分に使用できる

Airfolc RA-6010-HPL:2ch modeを除く全てのch mode
NovoNotes 3DX:8chCube入力→HPL出力


Bグレード
本来のHPLプロセッシングの前段に3Dパンナーとしてのプロセスが加わっているため
定位はAグレードほど正確ではない

NovoNotes 3DX:8chCubeを除く全ての入力→HPL出力


この様なランク分けになります。

5.1chで言うなら、NovoNotes 3DXの5.1ch入力→HPL出力の音は、HPLの素の音では無く、5.1ch入力を一旦3Dパンニングのアルゴリズムを経由してからHPLでバイノーラルプロセッシングしている音になります。

一方で、5.1chをチャンネル毎に直でHPLプロセッシングしバイノーラル化しているのがRA-6010-HPLの5.1ch modeです。
RA-6010-HPLでは、あらゆる入力フォーマットに対しそれに応じたHPLプロセッシングが行われますので、22.2chであれば22.2ch用のHPLプロセッシングが成されます。
3DXはHPLの前段に3Dパンニングアルゴリズムがあるので、それを受けるHPLは1種類です。
よって定位感はHPL自体のそれとは変わってきます。




しかし、Bグレードであったとしても3DXのHPLにはRA-6010-HPLには無い役割があります。

目的が違うのです。

RA-6010-HPLは、2chから22.2chまでのチャンネルフォーマットでMixされた音声をバイノーラル化するプロセッサー。
NovoNotes 3DXは、3Dパンナー、Ambisonicsエンコード&デコード、HPLバイノーラルで構成されたDAWのMixで使用するプラグイン。
マスターのプロセッサーとしてのHPLは、マスター音源の正確で高品位なバイノーラル化が重要視され、
MixでのHPLは正確な定位や音質よりも、バイノーラルとしての空間表現力や自由度が重視されます。

例えばまた5.1chで話をしますが、
5.1chとしてMixされたマスターをRA-6010-HPLは世界最高水準でありのままにバイノーラル化することが出来ますが、
3DXは、5chのバランスを保ったまま空間ごと上下動させたり、狭い広いと言った空間の伸縮が行えたりします。
RA-6010-HPLでは出せない表現力を持っています。

3DXとRA-6010-HPLで唯一同じグレードなのは8chCube(下層4chスクエア+上層4chスクエアの立方体スピーカー配置)です。
これは立体音響制作の要となるフォーマットなので、DAWのMix上でもマスターでも最も良い状態でバイノーラルプロセッシングが行えるデザインとなっています。
立体音響制作で、3DXを使用の8chCubeを積極的に使用した方が良い利点はここにもあります。



グレードごとに補足します。


special Aグレード

他ブランドのバイノーラルプロセッシングよりHPLが優れている秘密はここにあります。
HPLは2chステレオのバイノーラル音質に、とにかく力をいれて開発されました。
基準のサウンドが確かである。
まずそこを抑えてからのサラウンド化が成されています。

それをプラグインにそのままパッケージしたのがHPL2 Processorプラグインであり、同じHPLがRA-6010-HPLの2ch modeにプリセットされているわけです。
ですのでspecial Aとしました。

このバイノーラルサウンドに関しては、下手なスピーカーモニター環境より信頼できると思います。  …ホント?w
HPL2 Processorの話は別の機会に解説したいです。




使い方としては、
リスナーであればお手持ちのステレオ音源をHPLバイノーラル化し、ヘッドフォンでありながら本来のスピーカーMixと同じバランスで音楽を楽しむ。
エンジニアリングとしてならば、Mix時にスピーカーの代用としてモニタリングに使用する。
自宅だろうが移動中だろうが、常に安定したリスニング環境でMixが行えます。
スピーカーモニタリングと違い、ヘッドフォンモニタリングでは絶対的なリスニングポイントでモニタリング出来ますので、バランスが正確でセンターが整っているHPLであればそれがリファレンスになります。


Aグレード

special Aと何が異なるのか?
HPL2を特別枠に入れたかった、それだけですw

RA-6010-HPLの2ch modeのL/Rの音と、その他のmodeのL/Rの音は違います。
2chのためだけの処理なのか? 5chや7chで音場が構成されているのか?
必ずしも優れた2chが他のchの音とのつながりが良いとは限りません。
実空間でも2Mix用のモニタースピーカーと、5.1chのモニタースピーカーのシステムとでは、スピーカーのモデルを変えたりすることがあると思いますが、それと同じです。
そうした意味でspecial Aと差別化してみました。




Aグレードも、リスニングだけでなくMixのモニターとして使用できます。
現に、この22.2ch HPLモニタリングで制作された作品「Lenna」は、日本プロ音楽録音賞のハイレゾリューション部門優秀賞を受賞する結果を生んでいます。

3DXも、8chCube入力をHPL化する設定の場合のみ、RA-6010-HPLの3ch+8chCube modeの8chCubeと同じ音質を備えています。


Bグレード

先程話した通り3DXの8chCubeはAグレード。
前後左右上下の空間が均一な8chキューブスピーカー配置では、パンニングは大変スムースに行われます。その整った音場のバイノーラル化なので質の高い立体音場を維持できている訳ですが、5.1ch, 7.1.4chと言った不均一な配置のフォーマットはその分パンニングのアルゴリズムが難しく、HPL処理までの過程が複雑になります。
なのでB

しかし、チャンネルフォーマットのまま回転や移動が行えるメリットはMix時大きなアドバンテージとなります。
特に、一度7.1.4などにまとめた先のマスタートラックで、全体的に重心を下げる、トップだけ高さを上げる、前後だけ広げるなどのコントロールで空間の印象を変えることは、Mixの中でかなり多用します。

初めからバイノーラル作品を作るのであれば、スピーカー配置のフォーマットを意識することは無いので、ヘッドフォンで今聴いている立体音場がすべて。
その際のHPLのグレードにAもBもありません。





この様に目的に応じたHPLをお楽しみください。

あと、RA-6010-HPLではハードウェアの仕様により、96kHz, 192kHzとサンプリングレートが上がるにつれ扱えるチャンネル数が少なくなります。



ちなみに
裏グレードとして
自分がマスタリングするHPL音源はこれらの製品を使用せずに、作品に応じて最適なHPLバイノーラルプロセッシングを行いますので、7.1.4chや22.2chなど多チャンネルのハイレゾ音源であってもspecial Aグレードを維持しています。