2021/06/26

それでも再生フォーマットに縛られる



エンジニア目線の話で
空間音響作品を作るのに再生フォーマットを先に考えないようにしているのは、既存のサラウンドフォーマットの多くが2chの拡張であるためで、そのベースとなる2chがそもそも不自然であるため。
そこから拡張しても一つの空間になりにくいからです。

発音体をモノラルとするなら
楽器や声はモノラルなので、その音場を拡げるためにはモノラルをベースに拡張すべきなのに、一度モノラルを捨てて2chにした後そこから拡張するのは不自然。

2chステレオはモノラルから拡張したと言うよりは派生した別物。

フォーマットで考えると
始めはモノラル、つまりC(センタースピーカー)だけで再生したのが、CにL/Rを足して拡張したL/C/RとせずにCを捨ててL/Rを派生させてしまった。

それに慣れ過ぎたために何も疑わず2chをベースにすべてを考えてしまう。
また機材やDAWなどすべて2chベースで出来てしまっているためそうならざるを得ない。

MixでL/RにCを足すと聴き辛くなったりしますが、それはL/Rを主役にしているからで、Cを主役にしてL/RをMixしたサウンドは聴き辛く無い。
空間シミュレーションしたリヴァーブをモノラル音源に掛けマルチchで鳴らすと自然な空間が生まれます。
実際は、道具が2chベースなのでそうやってモノラルベースで作る事すら容易では無い、と言うおかしな世界です。

アーティストが立体音場を考え空間音響作品をイメージする時に、そこにフォーマットは存在しません。

そのイメージをフォーマットで縛るようなアドバイス、つまり何chで作ります、とかエンジニアは始めからすべきではない。
作品のイメージに対し、どう鳴らしてあげたら良いのかは、後から考えて提案すればよいと思う。

しかしリリースとなるとフォーマット在りきでそうも言っていられないので、エンジニアは必至にアーティストの持つイメージをそのフォーマットで実現するための作業をします。
ただそのフォーマットがもしバイノーラルであるなら、スピーカーのchフォーマットに縛られる必要は全くありません。
始めから無限の空間イメージで臨める。
2ch文化に支配されずに済みます。
エンジニアが2chに支配されていなければ、その道は探せばあります。

空間そのものは多次元で無い限り一つ、つまりモノラルで、
その空間で声(モノラル)を出したら、沢山の響き(マルチch)が加わって空間(モノラル)を作る。

作品制作では、その声を沢山配置し、沢山の響きが集まった空間(超モノラル)を作り、その後でそれを何chで再生するかによって空間分解(再生フォーマット)する、と無理の少ない空間音響作品を作ることが出来ます。

その意識でいれば、どの再生フォーマットであってもエンジニアとして対応できるのではないでしょうか。