2019/06/03

ヘッドフォンサラウンドライブをする前に



立体音響のヘッドホンライブのシステムは何気に大変だと思います。
ヘッドホンは各自持ち込んでもらうにしても、一番のネックはヘッドホンディストリビューションアンプにちょうど良い製品が無いこと。

ヘッドフォンアンプの質は、バイノーラルの立体音場生成にとても影響します。
立体感は空間を表現出来るか否かであるため、S/Nが悪くきめの粗い安価なアンプはその表現が不得手です。
包まれ感も音像移動も立体感の無い音へと変わってしまいます。

そもそもヘッドホンをしてサーッと鳴っていたら使えません。
そしてバイノーラル効果のためには、なるべくチャンネルセパレーションの良い製品を選ぶ必要もあります。
これらはすべてアナログ回路の質による事が多く、つまり安物は使えないという事です。

音質についてはどうしようも無いです。
ヘッドホンディストリビューションアンプはサブモニター用途として設計されているので、リスニングの音質まで十分に考慮された製品は無いと思った方がいいです。

いくつか試した結果、ここ最近はPreSonus HP4を使っています。
元音から比較すると音質は落ちてしまうものの、扱いやすい音の変化であることと、聴いてもらいたい部分の表現力の劣化が比較的少ないことが理由です。


分配数も多ければ良いと言うものではありません。
分配数が多いアンプの方がやはり性能は落ちてしまっている製品が多く、またヘッドホンケーブルの距離も限りがあるため、4人で1台を共有するくらいが限界です。
ヘッドホンケーブルを延長するような事はしません。

使用する台数分のヘッドフォンディストリビューションアンプへ2ch音声を送るには、ラインディストリビューターで2chを分配することをアナログのシステムでは考えますが、アナログで分配を重ねるのは音質面での心配が増えることになります。
出来る限りアナログでの分配は避けるべきです。
よって2chの分配はデジタル上で行ってしまいます。
PCやミキシングコンソールから、MADIやDanteと言ったマルチチャンネルのデジタルフォーマットを使用し、2chをパラレル出力します。
いずれも64ch扱えるフォーマットですので、2chの素材を劣化なく32分配出来るわけです。
後はDAコンバーターのch数で分配数を決めます。
16chのDAコンバーター1台であれば8分配、32chのDAなら16分配と言うことです。
その接続先がHP4の場合は4人に分配されるので計64人分です。

本当は、リスナーの手元までDante等で送ってしまい、DAコンバーターを積んだヘッドフォンアンプで聴いてもらうのが一番良い結果になると思いますが、Dante入力のヘッドフォンアンプはそれなりの価格なので現実的ではないのが現状です。


これで元音と比較して8割~9割程度の音を共有出来ると思います。

もし、安価なアナログ製品ばかりでシステムを構成したならば、5割程度の立体表現しか共有出来ていないと思ってください。