2024/03/09

森のまちの音



先日、スターツおおたかの森ホールに”音”を納めました。


おおたかの森ホールは、昨年11月に作曲家・サウンドデザイナーの足立美緒さんによる作品《音場(OTOBA)~都心から一番近い森の記憶》をインストールした場所。





今回は、その作品制作の過程で森をテーマに録りためたおおたかの森周辺の音を編集し、”森のまち”一日のストーリーを30分にまとめたスピンオフの様な”音の設置”となります。

1年ほど前に、おおたかの森ホールから「ホワイエの活用として音による何かを」とのお話をいただいて以来ずっと考えてきたものを、途中11月に足立さんのインスタレーションを挟みつつ今回の設置まで漕ぎつけた、自分でも楽しみにしていた”音の設置”です。

僕はアーティストでは無いですし、そうした意図でも無いので作品と呼ぶのはやめておきます。

しかし、イマーシブなインスタレーションに多く関わるサウンドエンジニアとして、ならではの音を作りました。


録音は市野谷の森(この地域に残った数少ない森のひとつ)とその周辺6か所。
すべてSOUNDFIELD SPS200を使用しています。

そして、おおたかの森ホールのホワイエに設置されるヘッドフォンからその音は聞こえてきます。


フィールド録音した音を”聴かせる””聴いてもらう”と言った思考での音作りはしていません。

オーディオプレーヤー HiBy Music R3 II で再生し、外の音が100%聞こえるaudio-technica ATH-AD900Xオープンエアのヘッドフォンから聞こえてくる森の音とホワイエの音や視界など、その環境が絶妙に混ざり合う空間(音場)に30分間身を置く。





リラクゼーション?

その空間の音に包まれて、気付いたら没入してしまう人もいれば、自ら音に没頭する人もいると思います。

コーヒーを飲んでもいいし、本を読んでもいいし、仕事をしてもいいと思う。
眠ってしまっても。


数分だけ体験してみる、もいいと思っていましたが、
30分間の体験をされたおおたかの森ホールの皆さんからは、30分間の体験をマストとしたいとの評価をいただきました。


この音の設置は、おおたかの森周辺に住む人に向けたものであるため、大きく告知されることは無いと思います。
ストリートピアノの様に、「本日『OTOBA - 森のまちの音』を設置しています」とSNSで投稿されるといった案内になるらしいです。



この様なちょっとした音の企画が増えるといいですね。



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『OTOBA - 森のまちの音』
録音、編集、設置:久保二朗

もともと録音は《音場(OTOBA)~都心から一番近い森の記憶》制作のため足立美緒さんによるディレクションであり、一部ピアノの音も大町和海さんの演奏によるものです。
ご承諾くださったお二人に感謝。


おおたかの森ホール ホワイエでの制作風景
REAPERにてNovoNotes 3DXを使用しHPLバイノーラル化
3DXとEQと音量調整で空間の広さと立体感を調整していく