2020/06/04

公共空間での立体音響調整



公共空間は音響としては整った場所ではありません。
基本的に残響が多すぎます。
そんな場所でもスピーカーの数と配置をよく考え、そして調整を行えば十分に楽しめる立体音場を作ることが出来ます。
普段どの様な調整を行っているのか? 詳細ではありませんがポイントを記述したいと思います。


スピーカーなどの音響調整が済んでいたとして、
まず中心に立って前後と左右の音の違い、音量差を確認。その後上下の関係も同様に確認し微調整します。
この時測定結果にこだわり過ぎると失敗します。
上下のスピーカーを鳴らしてその中間に定位するか? 音色変化は? などを聴いて調整。
前後左右上下に均一な音場を作るイメージで。

例えば、左前のスピーカーと左後ろのスピーカーだけ音を出し中間に定位するか?
次に左前のスピーカーと左前上のスピーカーから音を出し中間に定位するか?
不自然な音色変化は無いか?

空間が広ければ、下のスピーカーよりも上のスピーカーの音は小さくなるので音量を上げる訳ですが、上げ過ぎると立体音場のバランスが保てなくなるので、完全に均一を目指す必要はありません。
どの程度上げるか? 最終的には作品を聴いての調整となり、結果的に+2dB程度であることが多いです。

あと、ディレイは入れません。
ここで言う立体音響は没入感ある立体音場を作れる環境を対象としているので、広さ的には20m四方以内と思ってください。
もっと広い空間でのサラウンドは没入型にはなりません。


各スピーカーからの出音が大体揃ったらレファレンスの音源を再生し、いつもの立体感になっているかを確認。
問題無ければ最後に音を整えていくわけですが、基本的には重たくなりがちな帯域(250Hz付近)を少し抑えたりロー(80Hz以下)を抑えたりしてスッキリさせます。

マルチチャンネルの場合、全てのスピーカーで同じ帯域を1dB下げるとかなり音は変わります。
場合によっては、下層のスピーカーだけとか、上層のスピーカーだけを調整すると言ったことを作品を聴きながら調整していきます。
それらが作品の持つ空間表現の調整となり、いわゆる空間がアル、ナイがここで決まります。

そして最後にサブウーファーをどの辺りの周波数からどの程度入れるかを決めます。
サブウーファーの帯域調整によっては、せっかく整えた空間表現を台無しにすることになります。
空間を残したまま必要なローを出す周波数ポイントとカーブを見つけてください。

それから最後に一番大事なのが全体音量です。
その作品の持つ立体音場、没入感を再生するに最も適した音量を見つけてください。


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